医療倫理2009

 価値観の多様化は医療分野にも及んでおり,特に生命の誕生や消滅の近くにいる医療従事者は,急速な医療技術の進歩に伴い各人が持っていく多面的な倫理観を理解する必要がある.日々,変化している生命を取り巻く社会状況に敏感となり,適切な情報を得る姿勢を身につけ,医療従事者として目の前に起こる生命倫理に関する命題を多角的な視点を持って捉えることができることを目標とする.

 大学院博士前期課程「医療倫理」を受講される方々へ

 他の講義と重なる講義への対応に関しての注意事項
  今回,医歯薬との関連で,木曜2時限以外の講義が含まれています.もし,他の保健学研究科の講義と
  重なる場合は,本来の講義の方を優先してください.(他の講義に迷惑がかからないようにご配慮ください.)
  
  「医療倫理」の講義のうちで木曜2時限以外のものは録画することにしましたので,当日,受講できない方も,その理由を報告いただければ,視聴できるようにする予定ですので,ご安心ください.

1回:4/9()        2時限 保健学科棟203

        講義・レポートについて,医療倫理講義の序                中塚幹也

       出席された方は(欠席された方も),メールでお知らせください.
       アドレスは,今後のメールでのやり取りに使用します.

2回:4/9()         5時限 臨床第1講義室

        安楽死・尊厳死をめぐる法と倫理                          粟屋 剛

3回:4/10()        5時限 臨床第1講義室

        患者の自己決定権とインフォームド・コンセント            粟屋 剛

4回:4/16()        5時限 臨床第1講義室

        臨床倫理学                                              李 恵英

5回:4/17()        5時限 臨床第1講義室

        死生学                                                  李 恵英

6回:5/28()        5時限 臨床第1講義室

        脳死・臓器移植をめぐる法と倫理                          粟屋 剛

7回:5/29()        5時限 臨床第1講義室

        医療情報をめぐる法と倫理                                粟屋 剛

8回:6/5()         5時限 臨床第1講義室

        生殖医療をめぐる法と倫理                                中塚幹也

9回:6/12()        5時限 臨床第1講義室

        生命倫理とは何か                                        粟屋 剛

10回:6/18()       2時限 保健学科棟203

        性同一性障害を取り巻く状況                              中塚幹也

11回:6/25()       2時限 保健学科棟2階多目的室

        「妊娠中からの母子支援」即戦力育成プログラム合同セミナー

        男女の産み分けは許されるか                              中塚幹也

12回:6/25(木)       13時〜18時 鹿田図書館3F

        「妊娠中からの母子支援」即戦力育成プログラム合同セミナー

        子どもを産むということ(死後生殖〜NICU・新生児の看取りまで)()

「よく生き、よく死ぬ、ための生命倫理学」 篠原駿一郎・石橋孝明 編 ナカニシヤ出版 2009年4月発刊
税込定価 2625円 四六判 282頁  ISBN978-4-7795-0329-0 C0012

中塚幹也 「卵巣凍結保存の境界線」
 将来の妊娠に備えて,癌などの悪性腫瘍の治療前の女性の卵巣・卵子凍結保存が行われ始めている.しかし,その技術は健常な未婚女性の生殖可能年齢をも拡大(エンハンスメント)し,ライフスタイルを変える可能性も秘めている.また,担癌での妊娠や死亡生殖の問題も抱えている.生,病,死の連続性の中で,「子どもを持つこと」と「あきらめること」との折り合いをつける境界線をどこに引くべきであろうか?

II 医学・医療の諸問題
第四章 卵巣凍結保存の境界線(中塚幹也)
  一 はじめに
  二 癌患者だって産みたい
  三 キャリアウーマンの卵凍結保存は許されるか
  四 卵巣・卵子凍結保存と死後生殖
  五 規制することの無意味さ――再び、「神の手」の問題――


「男と女の倫理学 篠原駿一郎・浅田淳一 編 ナカニシヤ出版
税込定価 2,730 四六判 280 ISBN4-88848-937-8 (2005.4)

中塚幹也「性同一性障害と性のグラデーション」
 人の性には生物学的性
(セックス)と社会的性(ジェンダー)とがある.多くの人々のセックスとジェンダーは一致し男女どちらかに属する.しかし,性同一性障害では,性自認(心の性)と身体の生物学的性(身体の性)が異なり,性自認に一致したジェンダー(社会的性役割)をとろうとするため,社会との摩擦が起きすい.物心ついた頃から「性器に関する悩み」が生じ,二次性徴が起きると身体の変化に嫌悪感を抱き,恋愛の問題も発生する.不登校,自殺念慮,自殺未遂・自傷行為も高率に見られる.二つの対立的概念としての「男・女」の中で性同一性障害の当事者は種々の生き方を見出す.ジェンダーフリー教育,戸籍に関する法の整備には,依然として問題点も多い.解決のためには,世間(マジョリティ)の意識を変えていくしかないであろう.


レポート提出のお知らせ
2009629()73()

6月26日の講義は25日に変更になりました.
テーマの希望調査中
20094月9日()626()
 2009年6月23日現在
成績はレポートにて評価(内容,レポートの形態,引用の適切性などに関して評価)いたします.
各自,テーマを選び,中塚までご連絡ください.あまりテーマが偏らないように調整します.

A4で数枚〜10枚程度でまとめてください.他のソースから文章,画像などを引用する場合は,必ず,その部分を明らかにして,引用範囲がわかるような形で,その直後に出典を詳しく記入してください.(最後にまとめて引用文献を載せるだけではいけません.)また,できるだけ(少なくとも3分の1以上)自分の言葉で書いてください.Wikipediaに関しては,著者が不明なためCopy & Pasteはしないでください.

MS Wordのfileで提出してください.(多少の語句の修正の後,匿名で(希望者は実名で)ホームページ上に掲載することもありますのでご了承ください.) 例えば,下の「学生が選んだ・・・・」のような感じになりますのでご参照ください.

テーマが決まったら,メールで連絡ください.下の表に埋めていきます.
下に,昨年度のレポートで希望のあったテーマを元に表を作っています.これ以外のテーマでも結構です.

                     学生が選んだ
                            2006年日本の女性・リプロダクションに関する話題
(10題)

提出は,メールに貼付していただいても結構ですが,受け取りのメールが来るか確認してください.CD-R,USBメモリーなどでの提出も可能ですが返却はいたしません.
テーマ 1枠目 2枠目 2名までに制限しますが,2名を埋めないといけないわけではありません.できれば,あまり重ならないでください.
安楽死 予約済み 予約済み
生命の値段
臓器売買 予約済み 予約済み
医療サービスの地域格差 予約済み
遺伝子診断 予約済み
がん告知 予約済み 予約済み
男女の産み分け
呼吸器はずし 予約済み
HIV感染者の生殖
マスメディアの倫理における被害者は?
癌治療による生殖機能廃絶と
第3者配偶子利用
ドーピング・身体改造
死後生殖 予約済み
出生前診断と妊娠中絶 予約済み 予約済み
中絶胎児の医学的利用
代理出産 予約済み
精神障害者と人権侵害
脳死と移植 予約済み
人体からの試料採取
戦争と人命
その他,希望があれば,
ご連絡ください